外壁メンテナンスの鍵を握るコーキング

お客様と塗料のことでお話していると「どんな塗料だと長持ちする?」と相談を受けることがあります。
適切な塗料選びはとても大切です。

しかし…塗料選びと同様、もしくはそれ以上に大切なことがあるのですが皆様ご存じでしょうか?
外壁塗装の鍵は、【しっかりとした下地の処理】がカギを握っています。
下地処理と聞いてもピンとこない方も多いと思います。

例えば、ガタガタの土台の上に技術力のある職人が立派な建物を建てたとします。
想像してみても分かるように安心して長く住むことは難しいでしょう。
外壁塗装においては、この土台が【下地処理】に当たります。
今回は下地処理の中でも特に大切な工程のシーリング(コーキング)の基礎知識をお伝えしたいと思います。

目次

  1. シーリング(コーキング)とは
  2. シーリング(コーキング)の必要な外壁、必要ない外壁
  3. シーリング(コーキング)の役割とは
  4. シーリング(コーキング)の寿命は何年くらい?
  5. 劣化したシーリング(コーキング)はどうなる?
  6. マイホームへのダメージは
  7. 「増し打ち」と「打ち替え」の違いと使い分け
  8. シーリング(コーキング)の先打ち、後打ちとは
  9. ブリード現象とその対策
  10. まとめ

 

シーリング(コーキング)とは

シーリング(コーキング)を打った直後

シーリング(コーキング)とは、外壁の継ぎ目(目地)の部分にあるゴム状の物質のことを言います。

目立たない存在なのですが、住宅を守り続ける上で非常に重要な役割を果たしています。
シーリング(コーキング)は塗料とは異なり、メーカーの推奨する塗装基準がありません。
施工する業者の技術や経験、モラルに左右される可能性が高い箇所です。
知識を付けておくことで信頼のおける業者を選びたい時の強い味方になってくれることでしょう。

シーリング(コーキング)の必要な外壁、必要ない外壁


皆様のお家がどんな外壁材をお使いかご存知でしょうか。
先ほど重要な役目と述べたシーリング(コーキング)ですが、外壁材によって、必要なものとそうでないものがあります。
戸建て住宅によく使われる外壁材の種類と特徴、シーリング(コーキング)の有無を簡単にご紹介します。

シーリング(コーキング)の必要な外壁

サイディング

工場で生産したサイディングボードを、現場で張って施工する外壁です。
耐久性に優れ、デザインのバリエーションが非常に多彩。
施工も容易であることから人気が高く、現在の戸建て住宅では9割近いシェアを占めています。
※パネルの間の目地やサッシ廻りに、シーリング(コーキング)を使用します。

ALC

ALCとは、軽量気泡コンクリートを使ったパネル状の外壁材です。
コンクリート内部に無数の気泡が存在するため軽いのが大きな特長。
強度、耐火性、防音性にも優れています。

※パネルの間の目地やサッシ廻りに、シーリング(コーキング)を使用します。

シーリング(コーキング)の必要ない外壁

モルタル外壁

昔から使われており、現在も根強い人気のある外壁です。
モルタルとは、セメントに砂を混ぜて水で練ったもの。
スタッコやリシン、左官など仕上げの違いによってさまざまな風合いを出すことができます。
※住宅メーカーによってはサッシ廻りや縦目地(伸縮目地)に使用されますが、使用されない場合が大半です。

タイル

種類が多彩で、高級感あふれる風合いが魅力の外壁です。
総タイルではなく、玄関周りなどに部分使いしているお宅もあり、とてもオシャレな雰囲気を出せます。
タイルは変色や劣化が少なく(割れやヒビの可能性はありますが…)、基本的にはメンテナンスフリーであると言われています。
※住宅メーカーによってはサッシ廻りや縦目地に使用されますが、意匠性を重視されるため住宅では使用されない場合が大半です。

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ご紹介した4種類の外壁のうち、目地にシーリング(コーキング)を使用するのはサイディングとALCです。
現在の戸建て住宅の外壁材として、この2つがシェアの大部分を占めています。
つまり、ほとんどのお宅は定期的に目地をメンテナンスする必要があるというです。

では、モルタルやタイルの外壁ならシーリング(コーキング)は一切不要なのでしょうか?
実はそんなこともありません。
サッシ周りをはじめ、シーリング(コーキング)による防水がされている箇所は、家の内外に数多く存在しています。
“シーリング(コーキング)と無縁の家”は存在しないのです。

ではそのシーリング(コーキング)の役割とは具体的にどのようなものでしょうか。

シーリング(コーキング)の役割とは

下地の大事な役割、シーリング(コーキング)。
ではその大事な役割とは具体的にどのようなことでしょうか。

1.クッション効果

シーリング(コーキング)には、外壁や窓サッシ、浴槽や壁といった建材同士がぶつかり合うのを防止する、クッションとしての役割があります。

例えば、サイディングボードは堅くて薄いので、気温や湿度変化で膨張・伸縮します。
また地震の揺れなどで負担がかかるとひび割れや歪み、破損を起こす可能性があります。

緩衝材の役割としてシーリング(コーキング)を使うことでサイディングへの負担を軽減し、上記のようなひび割れ、歪み、破損が起きないようにします。

2.外からの水の侵入を防ぐ

複数のボードやパネルと貼り合わせて出来ているサイディングやALCの外壁は、技術力のある職人が丁寧にくっつけたとしてもどうしても隙間ができてしまいます。

そのため間をあけ、シーリング(コーキング)材を詰めて密閉することで、水や汚れが侵入しないようにしています。

3.建材の固定

屋根工事では、屋根の棟板金が飛んでいかないように釘で固定します。
そして釘を打ち込んだところにシーリング(コーキング)材を打ち込み、接着材として使用します。
そうすることで、飛散防止に役立てたり、瓦屋根のずれを補修することができます。

4.補修

金属屋根の穴あきや、クラック(ひび割れ)で出来てしまった隙間に埋め込むことで補修することができます。

 

シーリング(コーキング)の寿命は何年くらい?

一般的には、外壁において最初に劣化していくのがシーリング(コーキング)部分です。
ではどれくらいで劣化するのか?
…その答えは一概には言えません。雨風の受け方や紫外線量、地面の揺れなどの、立地環境によって大きく異なるからです。

目安としてですが、シーリング(コーキング)部分が痩せてひび割れてくるのが、早ければ5~7年。
一般的には10年前後といわれています。

劣化したシーリング(コーキング)はどうなる?

シーリング(コーキング)は劣化するとどうなるのでしょうか。
どうなっているのが劣化している状態なのかを知っておくと、ある程度のセルフチェックができます。
代表的な症状をご紹介しますので、皆様のマイホームはまだ大丈夫なのかを確認してみてください。

“隙間”ができていませんか?(剥離)

シーリング(コーキング)材が外壁の動きについていけず、目地に密着しなくなった状態です。
隙間ができるということは、当然ながら防水機能に影響を及ぼします。
最初の施工時に下地材(プライマー)を塗り忘れたり、塗りムラがある場合も剥離が起こりやすくなります。

“ひび割れ”はありませんか?(破断)

シーリング(コーキング)が経年によって劣化し、痩せて裂け目が入ってきています。
そろそろ打ち替えのタイミングかと思います。

“下地やバックアップ材”は見えていませんか?


破断したシーリング(コーキング)をそのままにしておくと、劣化は進行します。
こちらはシーリング(コーキング)材(白い部分)の裂け目からグレーの下地が見えていますね。
劣化が進むとその奥にあるバックアップ材(正確には、青いテープ)が露出します。もしも青いテープが見えていたら、それがバックアップ材です。
バックアップ材が見えている場合は、雨漏りなどへの心配がありますので早急に対応した方がいいです。

 

マイホームへのダメージは

先ほど述べた症状をそのままにしておくと一体どのようなことが起きるのでしょうか。
防水機能を果たせなくなった目地から、雨水が入り込み、建物の構造にダメージが及びます。
具体的には雨漏りや外壁下地材の腐食です。進行するほど、マイホーム自体の強度に影響を与えます。
腐食した木材はシロアリの好む環境ですから、シロアリの被害を受けるリスクも高まります。

外壁の汚れはないからまだまだ大丈夫…と思われがちですが、シーリング(コーキング)の劣化は外壁の劣化よりも早いです。
上記のように外壁下地に影響が出てしまうと塗装では補えないほどの劣化が起きることもありますのでお気をつけください。

 

「増し打ち」と「打ち替え」の違いと使い分け

コーキング撤去の様子

シーリングの打ち方に“増し打ち”と”打ち替え”があります。
これらはメンテナンス方法の違いです。
簡単にご説明しましょう。

増し打ち

古いシーリング(コーキング)の上から、新しいシーリング(コーキング)材を注入する方法。

打ち替え

古いシーリング(コーキング)を取り除き、新しいシーリング(コーキング)を注入する方法。

シーリング(コーキング)材を取り除く 打ち替え”の方が、時間も手間もかかるので増し打ちより耐久性がもつのでは、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、どちらのやり方が一概に良いというわけではありません。

外壁の目地、サッシ周りなどの場所によって、適した方法は異なってきます。
シーリング(コーキング)の傷み具合によっても判断は変わってきます。
※外壁材がサイディングであれば、基本はすべて打ち替えになります。
外壁材がALCの場合は、現在のシーリング(コーキング)の状況により増し打ちで良い場合もあります。
さまざまな条件を加味し、プロの目で最適な方法を選んでいるとお考えください。

シーリング(コーキング)の先打ち、後打ちとは

シーリング(コーキング)の施工を外壁塗装の前にすることを ”先打ち”、外壁塗装の後に行うのを ”後打ち” といいます。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご紹介しておきます。

一般的に塗替えリフォームでは先打ちがほとんどです。
新築時はボードを工場で塗装しているため後打ちになることが多いです。
塗料メーカーでは後打ちを推奨する場合が多いのですが、これはシーリング(コーキング)材と塗料との相性を懸念しての対応かと思われます。
経験やテストによって適切な組合せを選択できる業者ならば、先打ちで全く問題はありません。

ブリード現象とその対策

新築やメンテナンス後、まだ日が浅いのにもかかわらず、シーリング(コーキング)が黒く汚れてくる場合があります。
これは 【ブリード現象】 といいます。
機能的には全く問題ありませんが、外観上の見栄えは悪くなります。

 ブリード現象とは

シーリング(コーキング)材に含まれる”可塑材(かそざい)”という成分が、表面に現れるのが原因です。
可塑剤のべたつきが汚れを吸着し、目地が汚くなってきます。
汚れた目地の上にそのまま再塗装しても、時間が経てばまた黒ずみが発生します。

 

対策としては、
・塗装前に ”可塑移行防止剤” を塗る。
・シーリング(コーキング)材の種類はノンブリードタイプ材を使用する。
などが再発防止に効果的です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
外壁塗装の鍵となるシーリング(コーキング)についてご理解いただけましたでしょうか。
シーリング(コーキング)は目立つ存在ではないのですが、正しい状態を保つことで大切なマイホームを長持ちさせることができます。
このシーリング(コーキング)の状態は大丈夫なのかな?と心配される方。
サンユウでは、いつでもご相談頂けましたらプロの目で確認させていただきアドバイスさせていただきます。
相談は無料ですのでお気軽にご連絡ください。

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